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null      11 「雄大なご計画です」  隅田は瀬戸宏太郎に向って軽く頭をさげながら言った。不滅の建築、権力の象徴、ピラミッドなどと言われても、具体的に何を指すのか見当もつかないのだから、そう答えるより仕方がなかった。  すると瀬戸はたしなめるように言った。 「あなたは資本というものについてお考えになったことがありますか。まだお若いし、もしかするとそこまでまだお考えになる必要がないのかも知れませんが、もしそうであれば私の言うことをお心に留めて置いて下さい」  隅田は黙ってうなずいた。 「資本はいま一種の権力になっています。そして権力は人々の上に君臨します。しかし私たち資本を守って行く役目の人間は、それが何であるかよく自覚する必要があるのです。権力は、そして資本は、全人類を征服することは絶対に不可能なのです。征服して自分の仲間にしてしまうことは出来ません。それは権力や資本が人類社会に寄生するものだからです」 「寄生……」  隅田は驚いて瀬戸の表情をうかがった。 「権力や資本の根本的なメカニズムは、それ自体の増大本能です。そして増大するには宿主の血を要求するのです。やむを得ないことです。支配しない権力、市場を持たない資本。そんなものはあり得ません」 「と言いますと、支配される人々や市場がこの世界の本質ということになってしまうようですが……」 「いけませんか」  瀬戸宏太郎は一点のかげりもない笑顔で言った。「支配を受ける人々、物を買う人々……それらは権力や資本の宿主なのです。そして自分らに寄生するものから多くの恩恵を受けています。このことであなたとこれ以上論議を展開する気持はありませんが、私の申したことをひとつの意見としてお心に留めて下されば結構です」 「…………」